あおばくんのあたまん中 vol.3

〈取材・編集・構成・写真〉 大石倫子

 

 

[vol.1 演劇との出会い]

[vol.2 演劇でしか出来ないこと]

 

 

vol.3 ストーリー以外の楽しさ

 

 

しみず:演劇でしかできないことをしたい、ということですけど、具体的に取り入れている手法ってありますか?

 

あおば:僕がその頃からずっとやり続けている演出があるんです。映画だとシーンを繋ぎ合わせるのってすごく簡単で、例えば、家の中から、家の外のシーンに変えるとしたら、パッと画面が変わりますよね? これが演劇だと難しいんです。僕はそこで、言葉を重ねるという行為をよくしていまして…

 

しみず:具体的にはどういう感じなんだろう?

 

あおば:前のシーンの最後のセリフと、次のシーンの最初のセリフを、同音異義語というか、そういう風に重ねているんです。

 

 

台本の一部。

 

しみず:あ、うんうん。旗揚げ公演の『なくなりはしないで』を観たけれど、そのシーンの切り替えがとても多い、という印象ですね。出てくる人が色々いるから、その切り替えがすごく面白かったんだよね。ちょっとドキッとするというか。無理やりずらされる印象というか。

 

あおば:あーー嬉しいです。

 

しみず:前のシーンの出演者がそのまま残っているのに、次のシーンになったりするよね。シーンが変わったっていう瞬間がちゃんと分かるっていうか。

 

あおば:そうなんですよね。僕が観て衝撃を受けてきた演劇にも、そういう要素が入っているものが多いんです。そういう言葉で繋げるっていうのも、演劇でしかできないことかなと思いまして。なので、『ホープモアホームレス』以降も、ずっとやり続けているんです。

 

しみず:やり続けているっていうことは、もちろんCygで上演される作品にもそういう要素が入っているんですか?

 

あおば:『不思議の国のアリス』は、言葉遊びが有名な作品ですよね。僕は日本語に訳した原作しか読んでないんですが、日本語でとても遊んでいるなぁと思いまして。これはちょっと、僕も挑戦しないといけないなと。言葉で色々遊んでみています。

 

しみず:あと作品によっては、一人に何役もやらせたりするよね? これって混乱を狙ったりする効果なんですか?

 

あおば:トリッキーにしたいというよりも、純粋に人が足りてないというか、人がたくさん出てる方が面白いなという思いがありまして。それと、役者のみなさんを見ているといろんな役をやらせたいって思っちゃうんですよね。一 度、「劇団かっぱ」の夏公演の時に、キャストが18人だったけれども、80役くらい作っちゃって。人によっては5役くらいとかあったり。

 


配役表。一人何役も配役されている。

 

 

 

しみず:80役!?観てる側も混乱しそう。いやぁ、それは面白いね。でも、ぜんぜん想像つかない(笑)

 

あおば:例えば、テレビクルーなら腕章つけるとか、子供なら紅白帽かぶるとか、本当にそれだけで、キャラクター分けるような感じなんです。一応、着替える時間とか計算しましたけれども、慌ただしかったと思います。

 

しみず:演劇をはじめて経験する人はストーリーを観に来る人がほとんどだと思うけれども、こういう脚本もあるんだってわかると、見方が変わるよね。

 

あおば:演劇にもいろいろありますからね。

 

しみず:オチがあるから面白いとかではなくて、進んでいく中で、どんどん話が厚みを増していって、一番厚い状態で終わるというか。そういう感じがいいんだよね。積層していく感じというか。そこが一番面白いと思う。

 

 

 


しみず:話が戻るんですが、このホープモアホームレスの時は、審査員特別賞ということなんですが、審査員からの劇評みたいなのは直接されたんですか?

 

あおば:していただきました。印象深かったことは…演出に関してはありがたいことに結構褒めてもらえたんですけれども、悔しいなと思ったのは、「結局個人の問題に収束している」ということを言われまして。

 

しみず:なるほどね〜。

 

あおば:先ほども言ったんですが、僕は、僕発信の脚本しか書けないっていうのがあるんです。この『ホープモアホームレス』の時も、僕が「夢をみても結局努力しなきゃだめ!って思った」っていう個人的な主観が、作品の中にも出ちゃってたみたいなんです。

 

しみず:舞台に限らず創作物を見たとき、作品から個人的な主観を感じたりすると、「なんだか嫌だな」と感じてしまうことあります。でもやはり若い時はストレートな気持ちが出てしまいますよね。

 

あおば:確かにまだ甘かったんです。社会性を帯びているようなテーマかと思っていたら、「結局、個人の問題じゃん」みたいに言われてしまいまして。

 

しみず:人に見せる以上は、その方が評価されるのかもしれないね。

 

あおば:東北学生演劇祭のテーマが、学生らしさというのと、社会性というか、「今この演劇をここで発信する意味」みたいなのを重視している部分はあるそうです。

 

しみず:まぁ、学生らしさと社会性を同居させるっていうのは、ちょっと難しい感じはするけれどね。そこが良い塩梅のバランスの作品を探しているんでしょうね。

 

あおば:そうなんですよね。その両立が難しいんですが、「他の上演作品よりも社会性はあったのに、着地点がちょっと」みたいな感じのことは言われました。未熟さはあったものの希望が持てる講評をいただけてうれしかったです。

 

しみず:ところで、その大会で大賞を取ったのはどこだったんですか?

 

あおば:大賞は東北大学さんでした。

 

しみず:東北大学さんは、同じ大学生としてどういう感じでした?

 

あおば:完成度が非常に高かったですね。丁寧でした。ぼくたちの作品は「雑!」ということも講評で言われまして。

 

しみず:それは自覚はあるの? これはちょっと雑かなって。

 

あおば:いま観ると、正直、雑だなって思いますね。でも審査員の皆さんには、結構気に入っていただいたというか、好感を持ってはもらえました。

 

しみず:審査員特別賞だものね。脚本になにか可能性を感じたのかな。

 

 

〈つづく〉

 

 

 

 

演劇ユニットせのび 第2回公演
『どこかの国のアリス、あるいはなんとかランドのピーターパン』

Cyg art gallery

 

2016年
11月3日(木)14:00-
11月3日(木)18:00-
11月4日(金)19:30-
11月5日(土)14:00-
11月5日(土)19:30-
11月6日(日)11:00-
11月6日(日)15:00-
※開場は各30分前 ​※上演時間は100分程度を予定

 

チケット:

学生1,000円(当日1,300円) 
一般1,500円(当日1,800円)

Cyg art galleryにて販売中

 

企画:シグと村田青葉

 

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